2009年6月15日から第9回京都陶芸アマコン大賞の作品の募集が始まります。本大会に、期待される作品とは一体何でしょうか?受賞作品を決める7名の審査員のうち、作家の森野泰明先生にインタビューしました。
- ―これまでのアマコン大賞審査員をご経験されて、回を重ねるごとに変わってきたことはありますか?
- 森野先生:最近の方は上手になったかなと思いますね。やっぱり、楽しくやっておられる方が多いのでしょう。好きな時に、気が向いたときに自由に作ることができるのがアマチュアですし、作陶がよい趣味になっているという感じがします。
- ―アマコン大賞での入選のポイントとは何でしょう?
- 森野先生:アマチュアのコンテストですので、プロの作家の審査とは違う視点で見ています。プロの世界では展覧会それぞれに主義や志向がありますし、作品もそれに添う形で集まってきますが、アマコンの場合は、10代の方から80代の方まで参加する、いわば主義、志向が全くばらばらの方が作った作品が集まる大会です。それぞれの方の作陶の経歴や傾向なども全く違ったなかで審査するわけです。 そんななかで、今の時代に呼吸し、面白いな、一生懸命やっているな、楽しんでいるなと感じられるものが選ばれます。その時々のよい作品が選ばれるわけですから、過去の入選作品に一貫制はありません。もっと言うと、選ばれたからといってそれが大きなキャリアになるわけでもなく、落選したからといって落胆される必要もないんです。
- ―では、入選と落選の違いはどこにあるのでしょうか?
- 森野先生:人と競いたい、評価されたいというのが人の常ですが、その年に最も票を集めた方がグランプリに選ばれるだけのこと。展示スペースの関係上、作品を絞らざるをえないだけですから、入選、落選にこだわらないほうがよいでしょうね。あくまでアマコンであり、趣味の世界なのですから、まずは楽しんで、自分で納得した作品を出すことが大切だと思います。いろんなテイストのものが出てきてしかるべきなのが、アマコンなのですから。
- ―出品者の方へのメッセージをお願いします。
- 森野先生:「自分は出品するのはまだ早い」「下手だから出せない」というような気持ちを捨てて、挑戦してもらいたいですね。下手は下手なりでよいんじゃないでしょうか。最初から上手な人はいません。繰り返していくうちに、上手になるだけです。つまり、毎日やっていたら、常識的な技術は身に付くわけですから、そんなことよりも、肩ひじを張らないでとことん楽しんで、土と戯れてほしいですね。土の感触を楽しんで、自分の生活をエンジョイするための糧として作陶を続けているかどうかの方が、大事だと思います。人を楽しませるよりまず自分が楽しむ。土を通して何かを感じてもらえたらいいですね。