清水焼の郷探訪

「清水焼の郷探訪」は2005年頃から2010年頃までに外部記者が取材された内容をまとめたものです。日時や名称など現状と異なる点もございます。予めご了承ください。

第52回

作る面白さ 楽しさ 遊び心を形へ

有岡 進

  • 1949年 京都市に生まれる
  • 1972年 京都市工業試験場人形科卒業
  • 1983年 個展(ギャラリー紅/京都)〜’87
  • 1985年 現代美術新体験(西武ホール/大津)
    第3回大阪現代アートフェアー’85
    (大阪現代美術センター/大阪)
    個展(サボア・ヴィーブル/東京)
  • 1986年 陶立体パズル展
    (住吉倶楽部/神戸・ギャラリー紅/京都)
    美術選抜展(京都市美術館/京都)
  • 1989年 日韓青年陶芸作家交流展(京都/ソウル)〜’92
  • 1994年 Open Air Clay Work, Kyoto '94(京都)
  • 1995年 トイ・コレクション(目黒区美術館/東京)
  • 2002年 日韓陶芸作家交流展
    (京都芸術センター・ギャラリー北・南/京都)
  • 1985年〜 社会福祉法人修光学園 陶芸指導

志 ambitions

有岡進さんの作陶の原点は、人形製作に携わっていた祖父の存在にあるという。
「祖父は、私が生まれる前には、博多人形師として幾人かの弟子を持ち仕事をしていたそうです。私が生まれた当時は、祖父、祖母と叔母3人で陶人形を作っておりました。父親はサラリーマンでしたが、一つ家に私の家族5人と、祖父、祖母、叔母で暮らしていたので、家内工業的に陶人形製作が家の中で繰り広げられていたんです。いつもそばに粘土がありましたから、私は物心ついたときから、粘土を遊び道具にしていました」
 粘土だけでなく、叔父からプレゼントされた子ども用の大工道具セットを使って、工作も楽しんでいた有岡さん。何よりうれしかったのは、祖父が有岡さんの作るものは何でも、褒めてくれたことだった。
 「“面白いもん作ったな”って、いつも褒めてくれるんです。批判されたことなんてただ一度もありませんでしたね。祖父に褒められるのが楽しみで、次は何を見せようかって、夢中になって作っていました」
 そんな祖父の温かく見守る心が、有岡さんが作陶の道へと進ませたのだろう。技術こそ教わらなかったが、かけがえのない「作る喜び」を教えてくれたのは祖父だったからだ。
「面白いと思えばなんでも作る。私がジャンルにこだわらず作るのは、そういう風に育てられたからなんでしょうね」

技 skills

有岡さんの作品には、作るときに感じる面白さや胸の高鳴りをそのまま閉じ込めたよう
な、遊び心がある。「人を驚かせたり、楽しませたりできるような作品を作りたい」という気持ちがイメージとなり、陶器のパズルだったりオブジェだったり、笛や食器へと様々に姿を変えて、現れるのだ。なかでも、有岡さんが40年近く続けているという、練り込み技法による作品は、想像力をさらに豊かにしてくれるという。
「この模様を作りたいと思って作っていると、そのなかからまたいくつかの面白い模様が
できてくる。それが永遠に繰り返されている感じで、魅力は尽きないですね」
色土を幾層にも重ね合わせて作る練り込みの過程は、気の遠くなるような時間を経るが、その中でまた、新たな着想を生み出す。有岡さんの想像力もまた尽きることなく、見る者を楽しませてくれるだろう。

声 voices

40年近くもの長い間、土と向き合っていると、土の長所も短所もある程度分かるようになってきますし、問題が出てきても対処法が見つかるようにもなります。しかし、土には飽きない魅力があります。二度と同じものが作れなかったり、作っている内に新たに作りたいものが頭に浮かんできたりする…そんなところが、土の飽ききれない魅力なのだと思います。

新着情報

きよまろブログ

清水焼の郷まつり
炎 HOMURA 京都・やきものクラブって何だ?

京都・やきもの倶楽部は、清水焼団地協同組合が企画した、やきものをこよなく愛する人たちの集まりです。

ページの先頭へ