約100店舗がずらりと並ぶ陶器祭り。普段から清水焼団地内で店を構える窯元にとっても、祭りには特別に力が入る。
「もちろん、売り上げることが第一なのですが、多くのお客さんと触れ合える、祭りの雰囲気がやっぱり楽しいですよね」
大正初期に開窯という歴史ある窯元、富田玉凰陶苑の辛島さんは話す。茶陶器から、モダンデザインを取り入れたマグカップを始めとする一般食器まで、リーゾナブルで使い勝手の良い陶器が人気の窯元だ。祭りでは、それらが格安で手に入る他、通常では店頭に並ばない傷もの、半端ものや変り種商品も多数扱われる。品数の豊富さは、富田玉凰陶苑に限らず、殆どの店舗がそう。選ぶのに、目移りしてしまいそうだが・・・
「コツは、買いたいものを予め絞っておくことですね。茶碗なら茶碗と決めて各店舗を回ってみると、それぞれの店の違いがわかって面白いですよ。そこから、自分好みのものを見つけるのは、宝探しみたいで楽しいと思います」(辛島さん)
お気に入りの陶器が見つかれば、次に待っているのは関西の祭りらしく(?)「値切り」の交渉。品物を手に取ったらまず、値段が書いていようとも「これなんぼ?」と聞いてみよう。ただ、常に「笑顔で」を忘れてはいけない。
「私自身、通常は店に立たず、工房で作る立場。祭りの時だけ、店に出るのですが、お客さんとのやり取りは、勉強になりますね。みなさんあの手この手を使って値切ってきますから、すごいです(笑)。ただ、気持ちよく買ってもらうには、お互い笑顔が大事。皆さん、上手いこと言って値切ってくださいね(笑)」(唐島さん)
売る側、買う側も一緒になって笑顔で楽しむのが、祭りというもの。さて、今年は、どんな陶器や人々との出会いが待っているだろうか?
「今年も来たよ」「去年買った陶器、今でも愛用しているよ」というお客さんの声が、毎年聞ける陶器祭りは、私たち出店者にとっても特別楽しいものです。
掘り出し物を探すのは、初日の朝が一番とよく言われますが、その時間は最もお客さんが集中するとき。なので、私のオススメは、夕方から夜にかけての時間です。9時頃まで開催していますので、人が引いた後、涼風に吹かれながらゆっくり選ぶには最適。
みなさん、よい陶器に出会えるよう願っています。また、祭り当日、うちの店員は紫の法被を着ています。見かけたら、気軽に声をかけてください。