今日、老舗である以上に企業として大きな発展を遂げたのが「京の茶碗屋」たち吉である。宝暦2(1752)年、8代将軍吉宗公につづく家重公の時代、初代の橘屋吉兵衛が商を始めて以来、連綿と受け継がれてきた250年以上もの歴史には、常に「良い商品に親切添えて」という精神が根底にある。
四条通富小路角の本店はその真髄に触れることのできる空間だ。ゆったりとした店内には、季節に彩られた様々なたち吉創作の商品が並ぶ。その中で必ずといっていいほど見かける光景は、スタッフと顧客が会話する姿だ。
技法や産地などそれぞれに趣の違う商品が数多くそろうなかで、顧客は、ぴったりのものを見つけるのについ迷いそうになる。そんなとき、選ぶ楽しさを添えてくれるのがスタッフの存在だ。彼らは、産地の特徴から文様の由来まで、細やかな知識を深め、TPOに合わせた陶器を顧客に提案してくれる。たち吉のいう「親切」とは、「いかにお客さんにじっくり選んでもらい、満足していただけるか」であり、遠方から本店へと足を運ぶファンが後を絶たないのも、彼らスタッフが、商品に一層の魅力を与えているからなのだろう。
本店は、地下2階から3階までフロアが分かれ、それぞれに趣向を凝らした演出がなされている。
地下1階の「news」は、若手アーティストなどのコンテンポラリー作品を集めたモダンな空間。1階は、季節や流行を敏感にとらえた創作陶器が並び、毎月の展示替えで設えが一新するため飽きがこない。中2階は、全国でも類を見ない600種にも及ぶご飯茶碗が一同にそろう「ご飯茶碗365日」。2階の「特選サロン」は京焼・清水焼をはじめ、季節を先がけた器の数々。3階は「工芸サロン」として、2週間に1度作家による展示会が行われている。陶器だけでなく、テキスタイルや漆器といった様々なジャンルで展開されるのも魅力だ。
また、本店とともにこの夏楽しみたいのが、7月24日から3日間行われる「陶器まつり」だ。たち吉も出品しており、大勢のファンが「何が出てくるのか毎年愉しみ」と大変な人気。ぜひ足を運んでみてはいかがだろう?
本店にわざわざ遠方からお越しくださる方、「たち吉で買えば間違いない」とおっしゃってくださる方、行きつけのお店のように毎回顔を出してくださる方・・・毎日様々なお客様との出会いがありますが、「良い商品に親切そえて」が、たち吉のモットーです。
お客様と話をさせていただきながら、お好みやご希望に沿った商品を提案し、イメージをすり合わせていく・・・それがぴたりと合う瞬間を何よりの喜びとして、お客様をお迎えしています。(たち吉本店)